出張!背景美塾 クリスタ・トレース講座 -第10回(全12回)-

出張!背景美塾 クリスタ・トレース講座 -第10回-
日本で一番有名な?アシスタントMAEDAXが塾長を務める【アシスタント背景美塾】による
写真素材からの背景トレース講座!
第10~12回では、前回までで作成した線画をベースに、それぞれの作風に合わせた影やトーン処理などを解説します。

(第10回終了時点)

トレース講座Trace course

01:【1】少女漫画風仕上げ
少女漫画では背景は描きすぎず、トーンもあまり貼らない場合が多いです。
使用するトーンは1~3種類程度で表現していきます。「レイヤー」パレットからレイヤーフォルダーを作り、さらに「新規ラスターレイヤー」を作成。作成したレイヤーの表現色を「グレー」にします。
私の場合「カラーセット」パレットから色の濃度を5%、10%、15%、20%、30%といったかたちで、すぐ好みの濃度をとれるように設定してあります。
簡単な方法は「カラーセット」パレットの左上のアイコン、メニュー表示をクリックし、「表示方法」から「リスト 中(M)」を選択するとカラーセットの表示が切り替わり、濃度の灰色の選択が行いやすくなります。
まずは空に色をつけていきます。

※画像クリックで拡大します
02:空の色の濃度を5%、もしくは10%で塗っていきます。
色が薄いと、どこまで塗ったか分からなくなる場合があります。その場合は一度「レイヤープロパティ」パレットの効果項目にある「トーン」をクリックします。そうすると選択されているレイヤー内の画像をトーン化できます。
その後、「表示」メニュー→「トーン領域表示」→「選択中のトーンの領域を表示」を選択することでトーン化された領域が初期設定では水色に表示され、分かりやすくなります。「トーン領域表示」の初期設定では青色ですが、あとから変更することができます。
03:レイヤーに対して「レイヤーマスク」を作成し、描画色を「透明」にして「カケアミ」デコレーションブラシなどのブラシで消していきます。
レイヤーマスクを使用すれば一度塗った部分からはみ出すこと無く、消したり塗り足したりする事が可能です。
雲は何も見ずに消すと嘘っぽくなります。雲の描き方なども沢山ありますが、一番の近道は資料を検索もしくは窓を開けて空を観るなどして雲のかたちを観察してみてください。
雲にもパースがついています。雲の形が全て同じ大きさにならないよう大、中、小とバランスを見ながら、奥に行くほど薄くなっていく事を意識して消していきます。
04:続いて影を入れていきます。
まず、どちらから光が当たっているか決めます。トーン仕上げの影を塗るときに光源の方向を決めないと影が塗れません。
今回は左にビルがあり右側が大きく空がありますので、右上から光が当たっている設定にしていきます。
最初に物体の固有色(赤や青など)からトーンを塗ってもよいですが、立体感を意識しながらトーン仕上げを進めていくため、まずは影から塗っていきます。
05:そこから影が落ちそうな部分に対して灰色を塗っていきます。
今回は5%もしくは10%の濃度がいいと思います。影を塗るときに建物の凹みにだけ塗るのではなく、窓ガラスなどにも影が落ちている意識で塗るとシンプルに立体感が出せます。
また上の窓ガラスは立体感を意識し、窓ガラスに落ちた影も塗ったものです。
下の窓ガラスは建物の凹みにだけ塗ったものです。見比べると違いがわかると思います。
06:今回は影と空、全て灰色10%で塗っていきました。
一種類のトーンでも削り方や塗り方でここまで表現できるので色々試してみてください。手間は掛かりますが、トーン塗りや削りは比較的単純作業が続きます。
また少しずつ画面が綺麗になっていくさまは楽しいものもあります。根気よく描きすすめましょう。
ただトーンを塗るだけでなく、削りなどを加えたりと立体感を意識した塗りを加えたりすることでぐっと画面の密度が増し、グッと見栄えがよくなります。
07:更にキラキラやほわほわ、カケアミなど場面に合った効果トーンを散らして完成です。
少女漫画はキャラや心情表現が優先されるので背景はシンプルでトーンもあまり貼らないものが多いです。
シンプルだからこそ丁寧に。重要です。シンプルかつわかりやすく表現することは難しさがあります。
根気よく丁寧に自分の作品の世界観を最大限引き出すための手段として役立ててください。
08:余談ですが、紙原稿の場合の仕上げに使用する「トーン」は本来、ドットや柄のついた薄いシールのようなもので貼りたい部分より広めにトーンを貼り、必要のない部分をカッターで切り取ったり、削ったり、トーンを剥がして仕上げに使用する道具です。
最近はマンガ制作ソフトの発達により、アナログを知らない人も多くなって来たためトーンを「貼る」という表現が分からないという人もいるらしいです。
今講座も「塗りつぶし」ツールなどでトーンを塗ったりするので、基本的には「塗る」という言い方をしています。

※第11回に続く

制作コメントCOMMENT

アシスタント背景美塾で「料理」講座を担当しています「山崎智史」先生にトレースのメイキングを制作して頂きました。
正確な描画と発表媒体に合わせた描画の変更など、柔軟な対応を行っております。

制作プロフィールPROFILE

制作 アシスタント背景美塾
HPアドレス アシスタント背景美塾(https://haikeibijuku.com/)
twitter(URL) アシスタント背景美塾(https://twitter.com/haikei_bijuku)
山崎智史(https://twitter.com/sat_zakiyama)
pixiv(URL) 山崎智史(https://www.pixiv.net/member.php?id=815065)
主な活動ジャンル 初級講座(背景を学びたいと感じたら)
その他、クリスタを学べるデジタル講座もあります。
自己紹介 「アシスタント背景美塾MAEDAX派」とは日本で一番有名?な漫画アシスタントMAEDAXによる背景でお悩みの方にむけた、実践型プロ志向背景教室です!

今回使用した写真素材Materials